アルゼンチンのマラドーナやメッシ、さらにはブラジルのペレやネイマール。今も昔も、サッカーのスーパースターには南米出身の選手が数えきれないほどたくさんいます。南米選手たちの特長は、なんといっても個人技でしょう。南米サッカーの秀でた個人技はいったいどうやって身につくのでしょうか?
まず、南米の各国では、サッカーは単なるスポーツではありません。サッカーは文化、暮らしの一部として完全に根付いています。子供たちは生まれた瞬間からサッカーボールに触れています。外に出て人が集まれば、自然とサッカーが始まります。老若男女問わず、体格や年齢の異なる仲間に混じってサッカーをすることで、少年少女たちは、例えば大きい相手と対峙したときにどうやってボールをコントロールすればよいかなど、常に様々な工夫をしながらプレーします。
また、たぐいまれな個人技の秘密は、サッカーをする場所にもあります。日本では、人工芝などの整った環境でプレーするのが一般的ですが、南米ではサッカーをする場所を選びません。でこぼこの道路であれ砂利道であれ、とにかくボール1つあればどこでもサッカーを楽しんでいます。ぬかるんだ干潟で朝からサッカーをして、やがて日が暮れて満潮になり、水があふれてボールが蹴れなくなったら試合終了。そんな環境で毎日サッカーに熱中していたら、足もとの技術も強い体幹もしっかり身につくことでしょう。
もちろんクラブチームに入って技術や戦術を学ぶこともありますが、南米サッカーの個人技は、日常の遊びとしてのサッカーのなかで自然と習得されるものなのです。